現代社会を表現するとき、たびたび用いられるのが「生きづらい世の中」という言葉。たしかに日々の生活で困難が立ちはだかることはあるでしょうが、果たしていったいどれくらいの人が実際に「世の中は昔に比べて生きづらくなった」と感じているのでしょうか?ロバ耳編集部では以下の内容でアンケートを実施しました。
昔に比べて生きにくい世の中になったと思いますか?
とてもそう思う 33.0%
ややそう思う 39.4%
あまりそう思わない 22.5%
そう思わない 5.1%
なんと約4人に3人近くの人が、「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答し、「昔に比べて生きにくい世の中になった」と感じていることが判明しました。
そう感じてしまう理由はどういったものなのでしょうか?主なコメントと共に紹介します。
経済面
物価は上がるのに、給料は上がらないから(30代女性)
昔の人達よりも年金がかなり少なく、いつまで働かなくてはいけないのだろうと考えた時(50代女性)
価値観の変化
自分中心な考えの持ち主が増えたと思うから(40代女性)
情報があふれすぎて、損得だけの世界になっている(40代女性)
せかせかしている人が多く、身体や鞄がぶつかっても、足を踏んでも謝罪しない人が多いから(50代女性)
便利なことは便利になっているが、その分、自己責任でとか、機能を使えないのは個人の問題みたいに切られることが多く、とりこぼされる人が多いと思う(50代女性)
ネット社会、携帯電話
今はスマホが必須の世の中で、家に居てもどこに居ても他人との繋がりを意識して生活しなくてはいけない点が生活しづらいと感じる(40代女性)
SNSの普及で匿名で批判などが簡単にできてしまう。人の目が昔よりも怖くなったと思う(30代女性)
ネット社会で操作の仕方も含めてついていけない。また、なんでもLINE等のSNSでコミュニケーションを取り、人と人同士の、関わりが希薄になってきていると感じる(40代女性)
誰でもすぐスマホで撮る、調べる、SNSにあげるから、昔は知らなくて良かった・知らずに生きてこられたことも知ってしまい、その知識のせいで出来ないことが増えたと思う(30代女性)
このようにネットの普及で人との繋がりを過剰に意識してしまう一方で、
ご近所さんと知り合いにもなれないので。どんな人が住んでいるのかも分からない(40代女性)
といった、リアルな繋がりの希薄化を挙げる声も複数ありました。
コンプライアンスが息苦しい?
自由に遊べる場所が少ない。バーベキューとか(40代女性)
○○ハラスメントが多すぎる。行動するときや言動に過剰な注意を払わなくてはならないから(60代女性)
子供にも気軽に声をかけられない世の中(50代女性)
そしてやはりご時世がら、もっとも多かったのはこちらの意見です。
新型コロナウイルス
コロナで人と会話する事も減り、旅行にも行けず、楽しみが全然無いからストレスが溜まって行き辛いと思う(60代女性)
コロナの影響でマスクをしているので、会話にしろ表情にしろコミュニケーションが取りづらい。人との関わりについて無関心と干渉の度合いが難しい(60代女性)
コロナ禍下で人と接触が少なくなり、一人で解決しなければいけないことが増えたように思う(60代女性)
この他にも、調査のタイミングがロシアによるウクライナ侵攻の直後だったからこともあり、「戦争への不安」を挙げる方も目立ちました。
一方、「そう思わない」派の方々の意見を見てみましょう。
SNSの発達で多くの情報が誰でも検索できるようになり、学びも多くなった(40代女性)
付き合いをしなくてよくなってきたのでよくなったと思います。正直めんどくさいので(30代女性)
セクハラやパワハラなどが問題になり、女性にとっては昔より生きやすくなったと感じる(50代女性)
昔は昔の良さがあり、今は今の良さがあると思う(70代男性)
生きにくさは変わらない。内容が違うだけ(50代女性)
「便利になった」「多様性が認められるようになった」など、「生きづらさ」を感じている人たちが挙げた理由と同じものが目立つのが、興味深いですね。プラスの面とマイナスの面、どちらに意識が向くかによる違いでしかないということなのでしょうか。その他には、「昔は昔、今は今」などの、「とらえ方次第で印象は変わる」といった意見も多数ありました。こういった意見の中に、生きづらい世の中を生き抜くコツがあるのかもしれませんね。
【年代別】昔に比べて生きにくい世の中になったと思いますか?
39歳以下 69.6%
40代 72.9%
50代 76.8%
60代 69.2%
70歳以上 65.5%
行きにくいと回答した人の割合を年代別にみてみると、若干の差はありますが、どの世代も同じくらい「昔に比べて生きづらい世の中」だと感じていると判明しました。年代によって比較対象となる「昔」のタイミングは異なるでしょう。このデータからは従って、「年々悪くなっている」とも捉えられますし、「どの時代がよい、どの時代が悪いというより、感じ方次第」とも捉えられるのではないでしょうか。
とかく「日本人は悲観的だ」とよく言われますが、2019年に世界的ベストセラーとなった『ファクトフルネス』では、日本に限らず世界の多くの国でも「世界はどんどん悪くなっている」と回答した人が過半数を超えており、「ネガティブ思考」は日本人だけのものではないと示されています。どうしても人は「昔のほうがよかった」と考えてしまう生き物なのかもしれません。
調査概要 |
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調査期間:2022/04/8〜2022/04/18 |
調査方法:インターネット調査 |
調査対象:全国の男女 |
モニター提供元:モラタメ |
調査人数:2,763名 |
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