よく聞く「パワーハラスメント(パワハラ)」や「セクシャルハラスメント(セクハラ)」以外にも、近年は問題視されるハラスメントは多岐にわたります。中にはまだほとんどの人にはなじみのなさそうなものも。
「○○ハラスメント」37種の中で、経験したことがあるものをすべて選んでください。
上記は、○○ハラスメント37種のうち、経験したことがあるもの上位10位をグラフにしました。ハラスメントを経験したことがないと回答した人は、37.9%。それ以外の方のおよそ3人に2人の人が何かしらのハラスメントを経験しているということが判明しました。
今回の調査の上位10種類をご紹介します。
10位 カラオケハラスメント 3.9%
接待や会社の飲み会でのカラオケで、上職場の立場を利用して、歌いたくない人に対して無理やり歌わせる嫌がらせです。
カラオケで歌わないと言っているのに、遠慮して歌わないと思われて、歌って歌ってと無理やり曲を入りられた(50代女性)
など多くの人が盛り上がっている場面だと、参加したくない人に対する配慮が欠けてしまうようです。
9位 家事ハラスメント 4.6%
もともとは、女性だけに家事労働を押し付ける社会の問題を指す言葉でしたが、やがて、夫の家事のやり方に対して妻が厳しく批判する行動も「家事ハラスメント」と呼ばれるようになり、現在はこの両方の意味を含むようです。今回の調査では家事を押し付けられてきた妻側からのコメントが主で、
家事も、子供の、送迎も、全部私。仕事してるのに(40代女性)
といった悲痛な声や、
と、夫以外からの嫌がらせもあるようです。
8位 マタニティハラスメント 5.6%
会社で働く女性が、妊娠や出産を理由に、嫌がらせや解雇や雇い止めなどの不利益な扱いを受けることです。2014年の新語・流行語大賞の候補50語に「マタハラ」が選出されたことで、一気に注目を集めました。
妊娠を報告したら、辞める前提の話しかされなかった(40代女性)
といった、時代遅れな固定観念からの嫌がらせや、
弊社の女性はすぐに妊娠する。困るんだよね~簡単に休めると思ってるから。いいことして会社休めるって女っていいねと言われた(50代女性)
といった、にわかには信じられないようなひどい言葉をかけられた方もいました。
今回は幅広い年代の方へのアンケートだったため、5.6%という結果になりましたが、過去には「女性は結婚したら職場を辞めるのが当たり前」だった時代もありましたから、そういう時代には顕在化されていなかった「マタハラ」が、本当はもっとたくさんあったかもしれません。
7位 ジェンダーハラスメント 5.7%
性別により社会的な役割が異なるという固定概念にもとづく嫌がらせのことで、「男はこうであるべき、女はこうであるべき」といったように性別で人の行動を制限する発言や態度などがこれにあたります。代表的なところでは
宴会の時お酌してきて、とか返杯をうながされたりした。お茶くみも女性だからという理由で強制された経験がある(60代女性)
といった経験を挙げる方は多く、少し昔の職場では横行していたようです。
6位 スメルハラスメント 6.6%
臭いにより周囲の人に対して不快な思いを与える嫌がらせのことです。
職場のおじさんの口臭で気持ち悪くなった(30代女性)
30代男性の酸っぱい汗の匂いがきつい」(30代女性)
といった声が集まりました。ここまでのハラスメントと比べて、こればかりは本人にも悪気がなく、指摘もしづらいのが難点です。
5位 スモークハラスメント 7.1%
職場などで喫煙者が非喫煙者に対して、タバコを吸うように強制したり、タバコの煙にさらすなどの嫌がらせのことです。
最近は分煙、禁煙が広まっていますが、勤務先は喫煙者が多く、会食などのお店は喫煙OKのお店ばかり。食事の味が分からなくなるのでとても嫌です(40代女性)
というように、職場の外での配慮も大切です。
4位 アルコールハラスメント 9.9%
この順位になってくると、よく聞く言葉ですね。
お酒に関する嫌がらせや迷惑行為全般のことを指し、飲酒の強要や、酔った上での迷惑行為などが含まれます。今回の調査でも、
お酒が全く飲めないのに、無理に勧めてくる(60代女性)
といった強要や、
といった信じられない嫌がらせも実際にありました。
3位 モラルハラスメント 24.0%
倫理や道徳に反する精神的な暴力や、言葉や態度による嫌がらせのことです。最近よく聞きますよね。
チーム内のミスで自分のミスではなかったが謝れと言われ謝ったが土下座を強要された(40代女性)
営業実績が上がらないため、直属上司が家に電話をして妻に『お宅旦那にもっと実績を上げるよう言ってくれ」と面前で言われた(60代男性)
のように、職場でのモラハラだけでなく、
俺のお金でご飯食べれて美味しい?と旦那に言われた(30代女性)
同じ立場であるはずの夫婦ですが、主人の言うことは絶対で、私の意見は通りません(40代女性)
のように、家庭内でのモラハラ事例も数多く集まりました。特に職場でのモラハラは、パワハラとの線引きがあいまいになりがちのようです。
2位 セクシャルハラスメント 26.6%
2位は「セクハラ」でした。職場などで行われる性的な言動による嫌がらせや、その対応によって仕事をする上での一定の不利益を与えたりすることを指します。
飲み会後に抱きつく上司がいた。仕事中にも、頭を撫でてくる(30代女性)
女のくせに、出しゃばるなと嫌みを言われた(40代女性)
手を握られた。顔色悪いけど生理か?と聞かれた。胸のサイズを聞かれた(50代女性)
上司と二人きりになった時やタクシー乗車中に口説いたり抱きついたり胸を触ったりする人が多かった(50代女性)
皆さんの鬱憤が溜まっているのか、完全アウトな体験談が次々と集まりました。
1位 パワーハラスメント 44.5%
1位はやはり、ハラスメントの代表、「パワハラ」でした。なんとおよそ半分の方が経験したことがあるという回答でした。御存知の通り、職場内の優位性を利用して、自らの権力や立場を利用して相手に苦痛を与えることを指します。
職場の上司から、ほかの人のいる前で大声で罵倒された(40代女性)
上司自身が決めた仕事の期限よりだいぶ前なのに、「まだ仕事が終わっていない」期限前なのに文句を言われた(40代女性)
バブル期に就職できた人は良いよね~と言われる。まるで能力が無くても就職できたような言われよう(50代女性)
派遣先の上長から。やってもいないミスを押し付けられ、退社まで追い詰められました(40代女性)
経験率の高さから、数多くのエピソードが集まりました。どれもこれも、受けた方の心中たるや、痛み入ります。回答者の方々が経験した時代よりも、減っているといいのですが…。
───いかがでしたか。
「ハラスメント」の種類が増えていることに表れているように、「ハラスメント」認定される行為も多岐にわたるようになっています。時代が進んで、法律や職場ルールが整備されるようになった一方で、「え?これがハラスメントになるの?」と、人によって捉え方が分かれる事例も出てきているようです。ルールも大切ですが、ハラスメントを無くすには、思いやりの精神が一番大切なのだと思います。
ちなみに、11位以下は以下の結果になりました。かなり細分化されていますね。
11位 エアコンハラスメント 3.1%
11位 リストラハラスメント 3.1%
13位 エイジハラスメント 2.8%
14位 スクールセクシャルハラスメント 1.8%
14位 マリッジハラスメント 1.8%
16位 時短ハラスメント 1.7%
17位 お菓子ハラスメント 1.6%
18位 ブラッドタイプハラスメント 1.1%
19位 コミュニケーションハラスメント 1%
19位 アカデミックハラスメント 1%
21位 エンジョイハラスメント 0.9%
22位 ラブハラスメント 0.8%
22位 フォトハラスメント 0.8%
24位 その他 0.7%
25位 ゼクシャルハラスメント 0.6%
26位 ヌードルハラスメント 0.5%
26位 パーソナルハラスメント 0.5%
28位 テクノロジーハラスメント 0.4%
28位 セカンドハラスメント 0.4%
28位 ソーシャルハラスメント 0.4%
31位 告白ハラスメント 0.3%
31位 エアーハラスメント 0.3%
33位 就活終われハラスメント 0.2%
33位 キャンパスハラスメント 0.2%
35位 テクスチュアルハラスメント 0.1%
35位 パタニティハラスメント 0.1%
35位 レイシャルハラスメント 0.1%
35位 レリジャスハラスメント 0.1%
ハラスメントを経験したことがないと回答した人 37.9%
調査概要 |
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調査期間:2022/05/27〜2022/06/01 |
調査方法:インターネット調査 |
調査対象:全国の男女 |
モニター提供元:モラタメ |
調査人数:958名 |
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